血液型はA型。
管理人のりんです。
先日公開した第1回「血統こらむ」、お読みいただけましたか?
前回は、基礎知識編としてサラブレッドの三大始祖
- ダーレーアラビアン
- ゴドルフィンアラビアン
- バイアリーターク
を紹介しました。
サラブレッドは、血統表の父系をたどると、必ず三大始祖に行きつきます。
今回は、実際に血統表を見ながら、知っておきたい
現代の「父系統」
として、
「ノーザンダンサー系」
を紹介していきます。
サラブレッドの血統表
出馬表の馬柱では、出走馬の馬名に加え、父と母、そして母の父が掲載されていることが多いと思います。

これでは、競馬初心者の方や血統に詳しくない方にとって、父名や母、母の父が分かるだけで、
血統を馬券検討に活かすのは難しい
と思います。
サラブレッドの血統に精通している方なら、パッと頭の中で血統表ができ上がるかも知れませんが…
競馬を予想する時、血統を重視するなら、
血統表は欠かせないアイテム
です。
※「血統こらむ」で掲載する血統表は、すべて私が作成したオリジナルのものですが、様々なサラブレッドの血統文献に倣い、日本産馬および海外で生産され日本に輸入された経歴がある馬はカタカナ表記としています。
血統表の見方
では、2018年の有馬記念を勝った、
ブラストワンピース
の血統表を見てみます。

ブラストワンピースの血統表を5代目まで見ると、実に62頭もの馬が出てきます。
血統表は、左から見て
1列目が父と母
2列目が父と母の両親(祖父母)
3列目が曽祖父母
4列目以下略…
となっています。
血統表は、その馬の出自を一目で確認できる、便利なツールだと覚えておきましょう。
父系統とは?
父系統は、下の血統表で赤く塗りつぶされた部分を言います。

父、祖父、曽祖父…と続く部分ですね。
父系統は、その馬の祖先を「種牡馬(サイアー)」でたどることになるので、
「サイアーライン」
とも呼ばれます。
ちなみに、ブラストワンピースの場合だと
5代前に世界的な大種牡馬
ノーザンダンサー
がおり、最終的に
ダーレーアラビアン
にたどりつきます。
親系統と子系統
サラブレッドの血統では、
親系統
と
子系統
で分類することがあります。
親系統と子系統については明確な定義がなく、血統にたずさわる方々によって意見が異なることが多くあります。
りんの「血統こらむ」では、以下のように定義します。
■親系統の定義
- そのサラブレッドの生産年から、50年以上経過していること。
- その時代において、過半数を超えるサラブレッドの血統表で、4代目以降にその名が確認されること。
- そのサラブレッドの産駒が複数種牡馬入りし、子系統を築いていること。
■子系統の定義
- 親系統の直子であること
- そのサラブレッドの生産から、50年に満たないこと。
- そのサラブレッドの産駒から、複数の種牡馬が誕生していること。
ブラストワンピース血統表でいえば

- ノーザンダンサーの生産年は1961年
- ノーザンダンサーは、血統表の5代目に見られる
- 現在、ノーザンダンサーを血統表に含む馬が圧倒的に多い
- ノーザンダンサー産駒は、Danzig(以下ダンジグ)以外に、ニジンスキーやサドラーズウェルズなど、複数の後継種牡馬が誕生し、子系統を築いている
⇨親系統は「ノーザンダンサー系」
- ダンジグの父はノーザンダンサー
- ダンジグの生産年は、1977年
- ダンジグは、ディンヒル以外にグリーンデザートやポリッシュプレセデント、ウォーフロントなど、複数の成功種牡馬を出している
⇨子系統は「ダンジグ系」
ということで、ブラストワンピースの親系統は、「ノーザンダンサー系」で、子系統は「ダンジグ系」とします。
ノーザンダンサー系
前置きが長くなってしまいました。
本題の「知っておきたい父系統」に参ります。
今回は
「ノーザンダンサー系」
を日本競馬で活躍した馬とともに、解説したいと思います。
ピックアップする活躍馬は、競走成績、繁殖馬としての成績を加味して、私の独断で選ばせていただきました。
ノーザンダンサー
現代の血統は
ノーザンダンサー
抜きで語ることはできないと思います。
ノーザンダンサーは、1961年にカナダで生まれ、3歳時にアメリカクラシックレース「ケンタッキーダービー」と「ブリークネスS」の二冠を制しています。

ノーザンダンサーは種牡馬入りした当時、実はあまり期待されていませんでした。
しかし、二世代目の産駒でイギリス三冠馬
ニジンスキー
を輩出。
以降も、続々と活躍馬を出しました。
また、産駒のニジンスキーやリファール、サドラーズウェルズなどが、種牡馬として大成功したことから、
世界の血統図を塗り替えた一頭
と言えます。
■主な産駒
- ニジンスキー:英三冠など、1986年英愛リーディングサイアー
- リファール:フォレ賞など、1986年米リーディングサイアー
- ダンジグ:アメリカで3戦3勝、1991~93年米リーディングサイアー
- サドラーズウェルズ:愛2000ギニーなど、1992~2004年英愛リーディングサイアー
- ノーザンテースト:フォレ賞、1982~92年日本リーディングサイアー
- 他多数!
ノーザンダンサーの子系統
ノーザンダンサーの産駒には、種牡馬として成功し子孫が繁栄している馬が多くいます。
■ノーザンダンサーの主な子系統
- ニジンスキー系
- ダンジグ系
- サドラーズウェルズ系
- リファール系
- ストームバード系
- ヴァイスリージェント系 など
■日本の主な種牡馬
- クロフネ(ヴァイスリージェント系)
- ハービンジャー(ダンジグ系) など
日本のノーザンダンサー系活躍馬
日本でのノーザンダンサー系は
ノーザンテースト
が、種牡馬として大躍進したことが大きなトピックとしてあげられます。
ノーザンテーストは1982~92年まで、実に11年連続で日本のリーディングサイアーの座に君臨していました。
■ノーザンテーストの主な産駒
- アンバーシャダイ(有馬記念、天皇賞春)
- ダイナガリバー(日本ダービー、有馬記念)
- ギャロップダイナ(天皇賞秋、安田記念)など
しかし、現在に直系のサイアーラインは残せていません。
そこへ、彗星のごとく現れたのが
クロフネ
です。

フレンチデピュティを父に持つクロフネは、3歳時にNHKマイルC、ジャパンCダートなど、芝ダート問わずGⅠレースを勝利。
競争実績もさることながら、種牡馬としてもフサイチリシャール(朝日杯FS)やスリープレスナイト(スプリンターズS)を出し、一定以上の成功を収めました。
他にも、近年の日本競馬で活躍したノーザンダンサー系の馬は、オペラハウス産駒のテイエムオペラオーやメイショウサムソン、カーリアン産駒のダービー馬フサイチコンコルドがいます。
しかし、種牡馬としての活躍という意味では、残念ながらイマイチです。
活躍馬ピックアップ
メジロライアン
■戦績:19戦7勝
■主な勝鞍:宝塚記念(GⅠ)、弥生賞(GⅡ)など
■主な産駒:メジロドーベル(牝馬三冠)、メジロブライト(天皇賞春)

メジロライアンは、平成初期に活躍した馬なので、「近年の活躍馬」とは言えないかもしれませんが…
現役時代の実績と、特に種牡馬としての活躍ぶりからピックアップしました。
メジロライアンが種牡馬として活躍していた時代は、
サンデーサイレンス
が圧倒的な成功をおさめており、他にもブライアンズタイムなど海外から輸入された種牡馬が活躍していました。
裏を返せば、メジロライアンのような「内国産種牡馬」が不遇を受けていた時代の中で、GⅠ馬を送り出したことは高く評価できます。
しかし、代表産駒であり、後継種牡馬としても期待されていたメジロブライトが10歳の若さで早世。
メジロブライト産駒で、唯一の重賞勝ち馬だった、マキハタサイボーグがセン馬(去勢された馬)だったこともあり、残念ながらサイアーラインとしてメジロライアンの血を残すことはできませんでした。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。
本題よりも、前置きの方が長くなってしまい、読みづらくなってしまったかも知れません。
ゴメンナサイ。
しかし、私のブログは「誰が読んでも分かりやすい」をコンセプトにしています。
ですので、ただでさえ複雑なサラブレッドの血統を解説するには、一から説明しないと分かりづらくなるので…
その辺はご容赦いただければと思います。
兎にも角にも、ノーザンダンサーが現代競馬のみならず、今後の競馬界にも多大な影響を及ぼす馬であることが、皆様に伝わっていれば幸いです。
血統を知ると、競馬の見方も変わってきますよ!
では、今日はこのあたりで失礼いたします。
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