実は理系出身、管理人のりんです。
先日SNSで、コラムのテーマをアンケートで募集したところ、「血統コラム」に多くの支持をいただきました。
投票数が少ないのは置いといて…
試しに、「競馬 血統」でGoogle検索してみたら、約735万件ものウェブサイトがヒットしました。
サラブレッドの血統は、馬券の検討要素でもありますし、それだけ血統を重視して予想されている方が多くいることの現れだと思います。
ちなみに、「りんの競馬予想術」でも、予想ファクターとして「血統」を取入れています。
記念すべき第1回「血統こらむ」は、
「血統の基礎知識」
をテーマにお送りします。
競馬で走る馬の種類
「競馬ってサラブレッドのレースでしょ?」
ってな感じで、なにを今さら言ってんの?という声も聞こえてきそうですが…
かつてはアラブ種と呼ばれる馬たちのレースも、中央・地方問わず多くおこなわれていました。
他にも、「ばんえい競馬」では「ばんえい種」と呼ばれる馬たちでおこなわれていますし、アメリカでは「クォーターホース種」による競馬もおこなわれています。

サラブレッドの定義
現在の中央競馬では、「サラブレッド系」の馬によるレースしか行われていません。
サラブレッドとして認められるのは
・両親がサラブレッド
・サラブレッド系種に8代連続サラブレッドを掛け合わせ、国際血統書委員会の審査で認められた馬
です。
…?
「サラブレッド系種」ってサラブレッドじゃないの?
サラブレッド系種とは?
サラブレッド系種と呼ばれる馬は、大きく分けて2つのパターンがあります。
①アラブ種の血量が25%未満の馬
かつては、アングロアラブ種による競馬も地方競馬だけでなく、中央競馬でも盛んにおこなわれていました。
しかし現在の日本では、2009年9月に福山競馬場でおこなわれた「アラブ特別レジェンド賞」を最後に、アラブ種のレースは行われていません。
そのため、競走馬としてアラブ種の子孫を残す意義がなくなってしまいました。
また、少量でもアラブの血を持つだけで取引価格が安くなってしまうという、経済的なやむを得ない事情で、アラブの血を引く馬は絶滅寸前となっています。
近年、人間の世界では多様性が叫ばれていますが、競走馬の世界はシビアですね。
現在では、地方競馬で「アラブの魔女」と呼ばれたイナリトウザイの血を引く馬が、ごくごく少数、現役で頑張っているようです。
イケノコスモス、頑張れ!
②おそらくサラブレッドだが、血統が不明確な馬
「血統が不明確な馬なんているの?」と思われる方も多いと思います。
競走馬は「血統書つき」ですが、血統表の中に「空欄」がある馬たちも一定数いるのです。
日本での有名どころは、オーストラリアから1899年に輸入された「ミラ」という牝馬が残した子孫たちですね。
ミラは、両親とも不明の「サラブレッド系種」としてレースに出走(当時はゆるゆるだったんですね)、13戦10勝の好成績を残して繁殖入りしました。
ミラの子孫は、ひ孫に第1回日本ダービー馬ワカタカや、牝系の5代目にミラの血を持ち1971年の皐月賞・ダービーの二冠を制したヒカルイマイなど、多くの活躍馬を出しました。

海外に目を移すと、2015年のアメリカクラシック三冠馬アメリカンファラオも、母方を7代前までさかのぼると、実は血統表に空白が見つかります。
サラブレッドの血統
競走馬が、サラブレッドとしてレースに出るには、その馬が「サラブレッドである事の証明」を受け、そして「血統登録」されていなければいけません。
簡単に言うと、現代の競走馬はみんな
「血統書つき」
ってことです。
血統の歴史はサラブレッドの歴史

ご存知の方も多いと思いますが、近代競馬の発祥国はイギリスです。
そして、サラブレッドもイギリスで誕生しました。
血統登録の歴史は、イギリスで1791年に出版された繁殖記録台帳「General Stud Book」から始まったとされています。
それ以降、競走馬を生産する世界各国でも「血統登録」がされるようになり、今日に至ります。
すなわち、血統登録の歴史は「サラブレッドの歴史」そのものと言えますね。
サラブレッドの三大始祖
サラブレッドの血統をさかのぼると、必ず3頭の馬に辿り着きます。
■ダーレーアラビアン

■ゴドルフィンアラビアン

■バイアリーターク

この3頭が、「サラブレッドの三大始祖」と呼ばれています。
ちなみに、この三大始祖の馬たちは、サラブレッド種ではありません。
※品種改良を重ねて、生み出されたのがサラブレッドであり、その父系をたどると三大始祖に必ず辿り着くという意味です。
それぞれの子孫系について詳しく語りたいのは山々ですが、
とんでもないボリューム
になるので、別の機会に書かせていただきたいと思います。
ざっくり言うと、以下のような感じです。
ダーレーアラビアン
現在のサラブレッドの約90%以上を占める、超主流血統。
日本での活躍馬、超多数!
ゴドルフィンアラビアン
アメリカでマンノウォー系を確立したが、世界的には零細血統。
近年の日本では、サニングデールやカルストンライトオ(いずれも父ウォーニング)が活躍。
バイアリーターク
18世紀後半から19世紀初頭に、ヘロド系が爆発的に流行するも、その後は衰退。
直系子孫は極めて少ない。
近代日本競馬では、シンボリルドルフ(父パーソロン)、メジロマックイーン(父メジロティターン)、ダイタクヘリオス(父ビゼンニシキ)などが大活躍しました。
サラブレッドの検査
冒頭で、さらっと「サラブレッドである事の証明」と書きましたが、どうやって証明しているのでしょうか?
もちろん「血統書」は必須です。
しかし、その「血統書」が本当にその馬のモノであることを証明するために、実は「個体識別検査」「親子鑑定検査」と呼ばれる検査が行われています。
個体識別検査
個体識別検査は、馬それぞれの外見上の特徴(性別、経路、白斑の位置・形状など)で行われていました。

過去はね。
2007年からは、直径2ミリ、長さ11ミリの非常に小さなマイクロチップをタテガミの生え際あたりに埋め込むことで、より簡単かつ確実に個体識別しています。
ちなみに、日本産馬で最初にマイクロチップが導入されたのは、凱旋門賞に遠征した際のディープインパクトと、帯同馬のピカレスクコートです。
親子鑑定検査
親子鑑定検査は、その名の通り、その馬が血統書通りの馬かどうかを確認する検査です。
2002年以前は、採血による血液型検査でおこなわれていました。
現在は、タテガミや尻尾の毛根から採取されたDNA型で検査しているそうです。

科学の進歩、パない!
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。
今回から始まった「血統こらむ」、いかがでしたか?
私は、小学生のころオグリキャップで競馬を知り、トウカイテイオーの有馬記念で感動し、ナリタブライアンの三冠制覇で競馬の魅力に取りつかれました。
世代的には、バリバリの
ダビスタ世代
です。
競馬ゲームでサラブレッドの血統に興味を持ち、いろんな競馬関連の本を読み漁ったものです。
このブログ「りんの競馬予想術」は、馬券検討に活かせる予想を皆様に見ていただきたく開設したので、本来なら
「馬券に活かせる血統術」
的なブログの方が需要がありそうなのですが…
しかし、サラブレッドの血統に関しては「知れば知るほど面白く」、底なし沼のように「奥が深い」と私は考えていますので、あえて基礎知識から書かせていただきました。
競馬に目の肥えた皆様にとっては、「そんなの知ってるよ」って内容だったかもしれませんが…
私も、競馬に憑りつかれて25年超。
書きたいことは山積していますので、今後の「血統こらむ」にご期待いただければと思います。
では、皆様に競馬の神様が微笑みますように。
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